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石山テクノ建設株式会社はあらゆる構造物の補修・補強・耐震工事を通じてインフラを守る環境保全企業です。

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随想 第三回 「見巧者(みごうしゃ)」

 私が読んだ「能」に関する本の中に、「見巧者」という、あまり耳慣れない言葉 がありました。
 広辞苑では「物の見方の上手なこと。またその人」となってい ます。
 歌舞伎や落語などの鑑賞眼が肥えている人を指しますが、役者は見巧者によっ て育てられます。
 能の舞台で踊る役者は、本当は、多くの観客のために踊っているのではなく、 一握りの見巧者のために踊っている、というのです。
 見巧者と呼ばれる人は芸 を見分けそれを感受する能力が要求されます。
 しかし突き詰めれば芸を見分け る能力に一番優れているのは、観客ではなく、創り出す側の人となります。

 では、創り出す側の人びとが勝手に相手を褒め称えているだけでいいのでしょ うか。

 建設業の世界で、「プロの仕事」と言う言葉があります。
 「素人から誉められて 喜んではいけない。プロから誉められて初めて、プロの仕事と言える」この言葉は真実だ、と思います。
 それじゃ、建物を創り出す側の人びとが勝手に相手を褒め称えているだけでい いのでしょうか。
 芸術は見巧者たちだけのものではなく、建物はプロと呼ばれる人たちだけのも のではないのです。

 最終的にお金を出して見に行く観客の眼が肥えていないと いくらすばらしい芸を提供しても観客席は埋まらず、お金を出して工事を発注 して頂く建て主さんの眼が肥えていないと粗悪な建物が蔓延するのです。

 建物の見巧者を育てて、いい建物が多くなる環境を創る上で「すまいと」など のサイトの果たす役割はますます重要になってきていると思っています。

 私も「建設業の見巧者」になりたいと思いますが、「見巧者とそうでない境はど こなんだろう?」などと凡人を地で行ってます。



石山テクノ建設株式会社 代表取締役 石山孝史


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