(8)区民の誇りの木ヤマナラシ


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 明治時代に京都の産業振興を目的に、巨額の資金を使い琵琶湖疎水の事業が行われた。その際にアメリカコロラド州アスペンの水力発電の情報をいち早く知り、現地に視察に行きそこをモデルに水力発電を導入することになる。現在は有名なリゾート地だが当時は銀山で栄えた鉱山都市だった。アスペンとはヤマナラシのことで、アスペン市のシンボルツリーになっている。その時の縁で京都にはアスペン協会が2000年に出来ている。何故今頃と思う、京都の近代化にとって記念すべき事業なので、今までなかったのが不思議である。
 京都市には「区民の誇り木」という制度があることを最近知った、知るきっかけはヤマナラシだった。川端御池の東北、鴨川の傍に区民の誇りの木がある。「カロリナポプラ」と銘板には書かれていた。ヤマナラシである。鴨川左岸の堤防では目立った高木である。だから選ばれたのだろう。右岸は土地の形状が長く変化していないので大木、巨木が無数にある。左岸は堤防の改修が最近にも行われたことを表している。しかしながらヤマナラシは幸運にも残ったのである。周辺には栴檀の木が5〜6本生えていたがこれは改修後かってに生えたものであり、改修後の年月はこの木で計れる。
 一般にはあまりなじみのない、街中では見かけない木である。私の住まいの裏手は向日市の向日台団団地の法面になっていて、ヤマナラシの林になっていた。4月の芽吹きの頃から5月にかけての新緑、秋の黄葉まで季節毎に変化があり、その地に引っ越してから30年ほど毎日眺めていたので愛着があった(今は全て伐採された)。微風でも葉柄が長いためざわざわと音を立てるので、山鳴らし(ヤマナラシ)という。

(株)京都建築事務所 監査役 小林一彦