耐震調査・補強資料



もくじ

1. 耐震診断の必要性
2. 耐震診断と補強設計
3. 耐震補強の必要性


1 耐震診断の必要性

●昭和56年に建築基準法が改正され、新耐震設計法が施行されました。
 これ以降に建築された建築物は大地震に対する安全性が構造計算により確認 されています。


中地震に対する安全性 大地震に対する安全性
従来の設計法 構造計算で確認 余力に期待
新耐震設計法 構造計算で確認 構造計算で確認

●新耐震(昭和56年)以前の設計法で設計された建築物については大地震に 対する安全性を耐震診断により確認する必要があります。

●阪神淡路大震災の際、新耐震設計法で設計された建築物はほとんどが軽微な 被害または無被害でした。(表-1)

表-1 阪神の地震被害(建築時期と被害状況:三宮地区)

1981年(昭和56年)以前 1981年(昭和56年)以降
倒壊または崩壊 105(14%) 5(3%)
大破 116(15%) 7(5%)
中破 151(20%) 8(5%)
小破 137(18%) 18(12%)
軽微 168(22%) 58(39%)
無被害 96(12%) 54(36%)
総計 773 150
平成7年阪神・淡路大震災建築震災調査委員会中間報告 建設省住宅局


●新耐震設計法(現行法)の基準

区分 想定する地震 地動の目安 基  準
1次設計 建物の耐用年限中に
2〜3回発生する地震
(中地震)
震度Xの弱
健  全
弾性範囲
2次設計 建物の耐用年限中に1回
発生するかもしれない地 震
(大地震)
震度Yの強〜 Z 倒壊せず
弾性又は塑性範 囲


弾性範囲と塑性範囲とは





2 耐震診断と補強設計

●耐震診断とは
□既存建築物の耐震性能を点数化して評価します。
・耐震性能を評価する主な要素は、地震に対する強さ(強度)と粘り強さ (靱性)です。
・点数が目標値に達していない場合には、耐震上弱点となっている部分や全体の状況など、原因を探ります。 これは、医者が患者の容体を診て病 気の種類や程度を判断する事に似ていますが、このことが、耐震診断の「診 断」の意味するところとなっています。
●補強設計とは
□耐震診断の結果から耐震性能目標値に達するように、有効な補強方法 を検討します。
・補強方法の選択にあたっては、機能性、経済性、施工性、法規制等も 併せて検討します。
□鉄筋コンクリ−ト造の場合の一般的な補強方法としては次のものがあ ります。
* 鉄筋コンクリ−ト造の壁を増設する補強(主に強度を増加させる)
* 鉄骨の筋違い(ブレ−ス)を設ける補強(主に強度を増加させる)
* 柱に鉄板等を巻き付ける補強(主に靱性(じんせい)を増加させる)




3 耐震補強の必要性


 平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、近年には見られない非常 に大きな地震でした。関東大震災後に初めて経験する大都市での大規模地震で した。
 震災後の建築物に関する調査結果では、表-1に示すように昭和56年を境に、 被害の大きさに違いが出ました。
 このことにより、既存建築物の耐震診断・耐震補強の必要性が緊急の課題になり、耐震診断・改修を促進するための法的枠 組みとして平成7年10月27日に"建築物の耐震改修の促進に関する法律" が制定されました。

【建築物の耐震改修の促進に関する法律】

 平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の被害に照らして考えてみる と、建築物の地震に対する安全性を確保するため、建築物の耐震改修を促進す ることを目的に「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(平成7年法律第123 号、平成7年12月25日施行)ができました。

 阪神・淡路大震災においては、建築物に多数の被害が生じ、多くの貴重な人 命が失われ、特に死者の8割弱が建築物の倒壊等による圧迫死や窒息死による ものであったため、地震に対する建築物の安全性の向上を図ることの重要性が 改めて強く認識されました。

 また建築物の被害状況から特に昭和56年以前に建築された現行の耐震基準 を満たさない建築物に被害が多く生じていました。

 このため、下記に示す既存の特定建築物の所有者に耐震診断、耐震改修を行う 努力義務を設けた法律が制定されました。

1.特定建築物の所有者の努力義務

 多数の者が利用する一定の建築物(特定建築物)の所有者は、耐震診断を行い、 必要に応じ、耐震改修を行うように努めなければならなくなりました。

・ 建設大臣は耐震診断及び耐震改修の指針(平成7年建設省告示第2089 号)に定めて公表しました
・ 所管行政庁は、特定建築物の耐震診断及び耐震改修について必要な指導 及び助言並びに指示等をすることができるようになりました。

特定建築物(2)の用途で(1)の規模を対象
(1)規模 階数3以上かつ延べ面積1,000m2以上
(2)用途   学校、体育館
ボーリング場、スケート場、水泳場その他これらに類する運動施設
病院、診療所
劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、映画館、演芸場、公会 堂
卸売市場、マーケットその他の物品販売業を営む店舗
ホテル、旅館
賃貸住宅(共同住宅に限る)、寄宿舎、下宿
老人ホーム、保育所、身体障害者福祉ホームその他これらに類するもの
老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉センターその他これら に類するもの
博物館、美術館、図書館
遊技場
公衆浴場
飲食店、キャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールその他これら に類するもの
理髪店、質屋、貸衣裳屋、銀行その他これらに類するサービス業を営む店 舗
工場
車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場を構成する建築物で旅客の 乗降又は待合いの用に供するもの
自動車車庫その他自動車又は自転車の停留又は駐車のための施設 郵便局、保健所、税務署その他これらに類する公益上必要な建築物


2.耐震改修計画の認定

 特定建築物に限らず、耐震改修をしようとする者は、「建築物の耐震改修の 促進に関する法律」に基づき、建築物の耐震改修の計画について所管行政庁に 認定を申請することができ、所管行政庁は、当該計画が耐震関係規定又はこれ に準ずる基準に適合する等の要件に該当する時は、認定することができること になりました。


 耐震改修計画の認定にかかる建築物についての特例

1.建築基準法の特例

耐震改修計画の認定を受ければ、既存不適確建築物の制限の緩和や耐火建築 物の制限の緩和があります。また計画の認定をもって建築確認があったものと みなすこととし、建築基準法の手続きのを簡素化しています。

2.住宅金融公庫の資金貸付の特例(住宅金融公庫の融資)

 一定の条件に該当する融資対象建築物について、耐震改修計画の認定を受け て住宅の耐震改修を行う場合に住宅金融公庫の住宅改良資金貸付の金利が引き 下げられる特例があります。

3.非住宅の耐震改修に関する融資(政府系金融機関の融資)

 一定の条件に該当する融資対象建築物について、耐震改修計画の認定を受け て耐震改修を行う場合、低利の融資を受けることができます。




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